プレス金型の位置決め

プレス金型の位置決めについて解説します。ここではプレス金型(プレス加工)の位置決めとは具体的にどのような工程であるかをご案内します。あわせて染谷精機が所有する位置決めパンチ穴機械をご紹介するとともにプレス金型の位置決め部品であるプランジャー、ガイド、位置決めピン、パイロットピンのそれぞれの機能や役割をご説明します。あわせてプレス金型の位置決め精度向上のポイントをご紹介します。

プレス加工の位置決めとは

プレス加工の位置決めとは

プレス金型の位置決めとは、プレス加工を行う際に、素材が前後左右にズレるのを防止する機構です。具体的には素材に穴加工を行った上で、その穴をガイドピン(後述)などで位置を固定し、プレス加工します。このように加工段階で素材を位置決め、いわゆるガイドすることで、繰り返し性、つまり再現性のあるプレス加工が可能となります。表面処理が施されたデザイン性のある素材も、この位置決めをすることで付加価値の高い製品となり、自動車の内外装や販促品(ネームプレート)など、様々な製品で活用されています。位置決めにはいくつかの種類があり、「固定基準面に位置合わせする方法」「位置決め面(点)を調節できる方法」「位置決めピンによる方法」「V溝による方法」といった方法があります。

  • 「 固定基準面に位置合わせする方法」は基準面に押し当てて、面と面で位置決めする方法です。
  • 「位置決め面(点)を調節できる方法」は、調節可能な位置決めピンなどで位置決め基準の調整ができる利点があります。
  • 「位置決めピンによる方法」は円筒状、円錐状などの位置決めピンで位置決めをするのが特徴です。
  • 「V溝による方法」は円筒形状のワークに対して長手外形の位置決めをする特徴があります。

なお、板金加工では、タレットパンチプレス(タレパン)機で、位置決め用の刻印金型を使用することにより、簡単かつ正確に部品の位置決めを行うことができます。

位置決めパンチ穴機械

染谷精機ではプレス金型の位置決め加工のひとつとして、パンチ穴機械(ムラキ製の基準穴パンチングプレス機 AP-480H)を導入しています。

同機はプレス加工で位置決めプレスを行う際にガイドとなる穴を画像認識で精度よく開ける穴あけ機となります。素材表面にデザインの表面処理(加工)をしたものとプレスで加工をする位置を合わせる穴を開けるための穴あけ機です。あらかじめ、ガイドにする穴部分を印刷などで印を付けておき、その印を画像で認識してガイド穴を自動で開けることが可能です。弊社は最新鋭の設備の能力を駆使して高精度の位置決めを実現します。ガイド穴加工に対応している素材は、 樹脂フィルム、鉄板、アルミ板、ステンレス板となっております。

プレス金型の位置決め部品

プレス金型の位置決め部品をご紹介します。ここではプランジャー、ガイド、位置決めピン、パイロットピンのそれぞれの役割や機能について解説します。

プランジャー

プランジャーとはワークを位置決め、固定するための機械要素部品です。プランジャーには、先端のボールが動作するボールプランジャー、先端のピンが動作するスプリングプランジャー、ノブなどを操作することでピンを出し入れできるインデックスプランジャーがあります。ボールプランジャーは先端にボールが付いているため、上下方向だけでなく横方向からの荷重に対してもボールを沈み込ませることができるため、スライドする摺動部機構の位置決めに適しています。スプリングプランジャーは先端のピンが動作するプランジャーで、ボールプランジャーよりも長いストロークが可能です。また構造上、ボールプランジャーよりも横方向に抜けにくく、ワークの押し出しにも適しています。インデックスプランジャーはピンの引き込みを手動で行えるため、位置決め、割り出しの解除を手動で行う装置に最適です。

ガイド

プレス金型の位置決めで使用されるガイドは、金型部品が正確に組み合うよう支える重要なパーツです。ガイドによって上下型の位置が確保され、プレス加工の精度が向上します。ガイドは加工品質を向上させるだけでなく、金型の寿命を伸ばす役割も果たします。ガイドには主に「プレーンガイド」「ボールガイド」「ローラーガイド」の3種類があります。プレーンガイドはプレーンガイドは、摩擦が生じる仕組みで精密性や耐久性は他のガイドに劣りますが、シンプルな構造で低コストであるため、小ロットの加工に適しています。プレーンガイドの材料には耐摩耗性を考慮して鋳鉄や高硬度合金が用いられることが多く、鋳鉄や高硬度合金を使用することで耐久性が確保されています。摩擦が生じやすい分、定期的な潤滑や清掃などのメンテナンスを怠ると寿命が縮むので要注意です。ただ、構造が単純であるため部品交換が容易で、結果としてコストの削減につながるのもメリットです。特に簡易的な金型や試作段階の部品に適したガイド方式といえます。

ボールガイドはガイドポストとガイドブッシュの間にボールベアリングが組み込まれています。ボールによってスムーズな移動が可能となり摩擦が大幅に減り、プレーンガイドよりも高精度な加工が期待できます。ボールガイドは特に、自動車部品や家電製品など大量生産される製品の製造に効果的です。また、メンテナンス頻度が少ないがゆえランニングコストを抑えられるのもメリットです。

ローラーガイドは、ガイドポストの周りにローラーを配置し、より滑らかな動きが可能となります。ローラーが回転するため、ボールガイドよりも摩擦が少なく、精度と安定性が向上します。複雑な形状や高強度が求められる部品の加工など、精度が最優先される場合に最適です。ローラーガイドは非常に高価で、設置やメンテナンスにも技術が求められますが、高負荷条件でも安定した精度、たとえば、製品寸法がミクロン単位で要求される精密加工などで強みが発揮されます。信頼性が重視される生産環境ではもっとも適したガイド方式といえます。

位置決めピン

プレス金型の位置決めにおけるピンは、製品や部品をしっかりと固定するために不可欠な治具のひとつです。一般的に位置決めピンは、2本用いられ、ワークを固定します。位置決めピンには「フラット」「球面」「テーパ」「ダイヤ」など、先端形状の異なるタイプがあります。フラットは先端が平面になっており、高精度な位置決めピンとして幅広く利用されています。挿入をスムーズにするためにフラットピンは後述するダイヤピンとセットで使われる場合があります。

球面は先端形状が球になっています。そのため、接触面積が小さいのが特徴です。球面ピンは、軸方向や角度の自由度が必要な場合に最適です。また、ワークや部品を傷つけにくいため、精密機械や精密治具の位置決めに使用される場合もあります。

テーパはピンの先端が円錐形になっており、徐々に広がっています。テーパ形状のピンは、挿入時の位置合わせの容易さが特長です。組立作業などでも部品を簡単に位置決めできるようにするために用いられます。

ダイヤはピンの先端がダイヤ形になっており、方向を限定して位置決めできる特長があります。特定の方向にワークを位置決めしたい場合にダイヤはひんぱんに使用されています。また、ピン挿入時の抵抗が少なくワークの挿入がしやすいのもダイヤの特長です。

このほか、ピンは金属製以外にも樹脂製があります。樹脂素材のピンは金属製の位置決めピンに比べて軽いのが特長です。また、耐摩耗性や耐薬品性にも優れます。そのため樹脂製ピンは化学薬品や湿気の多い環境で使用される傾向があります。樹脂製位置決めピンの先端形状にも、金属ピン同様、フラットや球面、テーパなどの形状があります。

パイロットピン

プレス加工においてストリップレイアウト、つまり被加工材料の位置決めで重要な役割を担うのがパイロットピンです。プレス連続金型には抜き加工、曲げ加工など多くの加工が入り混じった金型が多くありますが、その中でパイロットピンは、製品の穴や材料の捨て穴にピッチズレ防止などの目的で挿入し位置決めを行います。パイロットピンの素材は、超硬合金やSKH51製などが含まれます。

プレス金型の位置決め、精度向上のポイント

プレス金型の位置決め精度向上のポイントを解説します。

プレス金型加工方式のひとつに順送プレス(順送り型、順送型)があります。順送り型(順送型)とは、1つのプレス金型で曲げ加工やせん断、絞り加工など複数の加工が行えるもので、プログレッシブ(プログレ、PRG)とも呼ばれます。この順送り型では、送り装置で加工する材料の送り込み量を設定し、設定した長さ分を正確にプレスすることで、規則正しい配列の孔を加工します。その際、加工する材料の塗油量や粘度変化などの影響で材料の送り長さに誤差が生じることがあります。その場合、加工する材料を送り装置で正確に送り込んでも、正常な位置でプレス加工ができなくなります。結果、不規則な孔配列の製品や孔が繋がった製品となってしまうだけでなく、金型に負荷がかかり、破損してしまう恐れもあります。

以上の理由から加工する材料を常に一定の送り長さで送り込み、正常な材料位置でプレス加工を行うことが極めて重要です。そこで材料送り長さの誤差を補正するため、前述のパイロットピンを金型の上部に組込み使用します。パイロットピンを使用することで、実際に孔加工を行うタイミングの前に材料が正常な位置に補正されます。続いて加工を行うパンチが入り、誤差の極めて低いプレス加工が可能となります。

染谷精機ではワイヤー放電加工機を複数保有しており、同機を使用して穴加工やコマ加工を行うことにより、精度の高い加工を実現しています。製品の形状に対して、どのように位置を合わせるガイドを設けるかなどを設計の段階で想定、配置することでプレス加工精度を上げることが出来ます。

プレス金型は位置決めが正確な染谷精機にお任せください

プレス金型は位置決めが正確な染谷精機にお任せください。弊社はデザイン性の高い製品においても、正確に位置を合わせてプレス加工する技術を有しています。弊社は金型も自社製作しており、トライや検証、調整、生産までを一貫して行えるため、納期、提案力でお客様のビジネス拡大に貢献します。

弊社は金型の設計段階から、プレス加工動作を強く意識するとともに、作業者目線に立って実際に金型を使用される方の使い勝手(加工性、メンテナンス性)を考慮して設計しています。金属プレス加工では、鉄・ステンレス・アルミ、樹脂フィルムなど幅広い素材、材質に対応いたしますのでお気軽にお申し付けください。それぞれの素材特性を熟知しており、付加価値の高い加工品をご提供します。また、弊社は創業以来、設備の充実に注力しており、現在45t~200tまで幅広いプレス機を保有しています。プレス機械以外にも形成研磨機やマシニングセンター、ワイヤーカット加工機、NCフライス盤、ボール盤、ラジアル、そのほか機械加工機(前述の基準穴パンチングプレス機 AP-480H、放電加工機、真空成形機、フルバック、コーターマシン、旋盤6尺、切断機【シャーリング】、金型肉盛溶造機【プラズマ】)など各種充実の設備群を取り揃えています。

前述のとおり、位置を合わせるガイド穴あけ装置、基準穴パンチングプレス機 「AP-480H」も保有しており、これらの設備を最大限に活用して金属プレス製品はもとより、樹脂や特殊素材などの開発的な部品、製品をご提供しています。お取引先も幅広く弱電関係、建築関係、車載内外装関係、銘板関係、販促品関係などジャンルを問わず様々な業界のお客様にご好評頂いています。なお弊社は鍛造、鋳造、射出成形には対応しておりませんのでご了承ください。

お困りのことが御座いましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

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