プレス加工金型について

プレス加工金型について解説します。ここではプレス加工で使用する金型(パンチ【雄型】、ダイ【die、雌型】、ブランクホルダ)、金型種類ごとのプレス加工方式(単発型、順送り型、トランスファー型、ロボット搬送プレス型、ファインブランキング【打ち抜き】型)、プレス加工金型の方法(切る【せん断加工】、絞る【絞り加工】、絞る【絞り加工】、パンチングプレス加工、圧縮加工)、プレス加工金型の素材・材質(プリハードン鋼【HPM】、炭素工具鋼【SK3】、特殊工具鋼【SKS3,sks3】、ダイス鋼【SKD11,skd11】、高速度鋼【ハイス鋼、SKH51】、超硬合金【V30】)をご案内します。また、染谷精機が所有するプレス機械・加工設備・装置をご紹介するとともに板金加工とプレス加工金型の違い(「金型」「加工形状」「手作業と自動作業」)を解説します。あわせてプレス加工金型以外の金属加工(鍛造、鋳造、切削加工、レーザー加工)のそれぞれの技術的な特長などをご案内します。
目次
プレス加工で使用する金型
プレス加工金型の構成について解説します。プレス加工金型で使用する金型は、パンチ(雄型),ダイ(die、雌型)、ブランクホルダで構成されています。ここではパンチ(雄型)、ダイ(die、雌型)、ブランクホルダのそれぞれの機能や役割などをご案内します。
パンチ(雄型)
パンチは後述するダイと対をなすもので、工作物に直接接触する部品です。ポンチや雄型、上型とも呼ばれます。製品の品質を高めるにはパンチとダイの位置関係を正確に保つことが極めて重要です。なお、プレス加工時にパンチが過度にのめり込むのを防ぐ部品がバッキングプレートで、バックアッププレートやバックプレートとも呼ばれます。バッキングプレートはプレスに対しての耐久度が必要なため、熱処理(焼き入れ)が施されています。
ダイ(die、雌型)
ダイはパンチと対をなす部品で、雌型や下型とも呼ばれます。
抜き落とした製品、もしくはスクラップを落とすための穴の役割も果たします。下型全体を保持して下型の剛性を保ったり、下型の高さを調整したりするために使われるのがダイホルダです。
ブランクホルダ
ブランクホルダは鉄やステンレス、銅などの金属板がセットされたダイを押さえつける部品です。パンチで圧力を加えられた金属板は、歪みによりフランジやダイの入口部にシワが生じる場合があります。このシワを防ぐには、金属板をしっかりと押さえつける必要があります。その際、材料を押さえつけるのがブランクホルダです。ブランクホルダで押さえつけられた材料には、パンチによる圧力が正確に伝わます。ただし、押さえる力が強すぎると材料が動こうとするのを止めてしまうため、材料が薄くなり、割れなどが発生します。容器形状などにする絞り加工は抜き加工や曲げ加工より難しく、豊富なノウハウが必要とされます。シワや割れを発生させない最適条件を製品形状や材質、材厚に合わせて設定することが何より重要です。
金型種類ごとのプレス加工方式

金型種類(簡易金型含む)ごとのプレス加工方式をご紹介します。ここでは単発型、順送り型、トランスファー型、ロボット搬送プレス型、ファインブランキング(打ち抜き、打ち抜き)型のそれぞれの加工方式の特長などをご案内します。
単発型
単発型は、1台で1つの工程を手作業で行う最もシンプルなプレス金型です。単発型のメリットは、比較的安価に製作できるのに加え、初期投資のコストが抑えられる点です。少量ロット生産や試作に適しています。一方、単発型は自動化されておらず、人手が必要なことから生産性が低いのが難点です。したがって、生産性の向上を図るとともにオペレーターの熟練度によるばらつきを抑えるために、複数台のプレス機械をタンデムラインに並べて自動化する「タンデム加工」が行われる場合もあります。
順送り型(順送型)
順送り型(順送型)とは、1つのプレス金型で曲げ加工やせん断、絞り加工など複数の加工が行えるもので、プログレッシブ(プログレ、PRG)とも呼ばれます。ロール状のコイル材を使用して順次プレス加工を施し、最終的に完成品を作り出す仕組みとなっています。1型の中で製品を作るための工程のステージが分かれており複数の工程を1回のプレス動作でプレス加工を行えるため、短時間に大量の製品を製造できるのが強みです。生産効率は高い一方、金型が複雑になるため初期費用がかさむ傾向があります。また、順送りするための繋ぎの形状があるため、材料の外側がロスとなり材料の歩留まりが悪くなる場合もあります。設計や要件が変更された場合、金型の修正や改造が必要となることもあります。
トランスファー型
トランスファー型は、単発型を工程順に並べて連続で加工できる加工方式です。プレス金型は単発型で用いられるものと同様ですが、自動搬送装置(フィンガーと呼ばれる治具)を活用することで、加工プロセスの自動化が実現します。一方、複数の金型と自動搬送装置が必要となるため、初期コストがかかるほか、すべての金型を同期させるため、金型構造と自動搬送装置の設計が難しいのが難点です。また、トランスファープレスではプレス高さ(ダイハイト)を統一する必要があります。
ロボット搬送プレス型
ロボット搬送プレス型は、それぞれの工程が独立している金型を、独立した搬送機構にて同調させることで製品を加工するものです。ワークの保持にはバキューム式、マグネット式、クランプ式があり、自動搬入、搬出など、有人から無人化にする場合などで使用されたりもします。
ファインブランキング(打ち抜き)型
ファインブランキング(打ち抜き)型は、一般的なプレス機械では難しい僅かマイクロメートル単位での精密なプレスが可能となります。材料の上下を固定することで、平滑なせん断面を作り出す精密打ち抜き金型です。ファインブランキングの原理は金属に圧力を加えると塑性変形の力が高まる静水圧効果に基づいています。一般的なプレス金型加工では、ダイ(下型)の上に加工物を置き、パンチで加圧して加工しますが、その際、ダイとパンチの間に適正な隙間、いわゆるクリアランスが必要となります。これに対して、ファインブランキングはクリアランスを極力なくした上で、上下両方から加圧して加工します。高精度部品を大量に作れるのが強みです。ファインブランキング加工は、複雑形状の成形が可能な上、加工が困難な特殊鋼やステンレス鋼、超合金などの鋼材にも対応できるメリットがあります。
プレス加工金型の方法
塑性加工のひとつであるプレス加工金型の方法をご紹介します。プレス加工金型は主に「切る(せん断加工)」、「曲げる(曲げ加工、ベンディング加工))」、「絞る(絞り加工)」のほかに「パンチングプレス加工」「圧縮加工」といった方法があります。ここでは「切る(せん断加工)」、「曲げる(曲げ加工、ベンディング加工))」、「絞る(絞り加工)」「パンチングプレス加工」「圧縮加工」のそれぞれの方法を詳しく解説します。
切る(せん断加工)
プレス加工金型によるせん断加工は、金型でプレスした素材を切断、分離、分断する加工方法です。せん断加工には被加工材を1本の線で切り離す「切断」のほかに、「外形抜き」と「穴抜き」と呼ばれる、被加工材に穴をあける加工法があります。クッキーなどのお菓子作りの型抜きのように、必要な形状を打ち抜く抜き加工も、せん断加工のひとつです。せん断加工では、あらかじめ不要な部分を取り除いておくことで、その後の無駄な加工を減らせる場合があります。
曲げる(曲げ加工・ベンディング加工)
プレス加工金型による曲げ加工は、文字通り素材を曲げる加工方法です。プレス金型やプレス機械の種類により、V曲げやU曲げ、L曲げ、カール曲げ、ロール曲げ、ヘミング曲げなど、さまざまな方法があります。
絞る(絞り加工)
プレス加工金型による絞り加工は、パンチ(雄型)とダイ(雌型)の形状に合わせた容器状の製品を製造する加工方法です。一枚の金属板から、円筒・円錐状など、さまざまな絞り形状を製造できる特長があります。
パンチングプレス加工
プレス加工金型によるパンチプレス加工は、タレットと呼ばれるホルダーに金型をセットして、これを加圧することで金属の板を打ち抜いたり、穴をあけたりする加工方法です。この方法はタレットパンチプレス、通称タレパンと呼ばれ、紙に同時に2つの穴をあける事務用品の穴あけパンチのようなイメージです。
圧縮加工
プレス加工金型による圧縮加工は、金型の中に材料を入れ、加圧して変形させる加工方法となります。圧縮加工には、押出、コイニング、ヘッディング、アプセッティングなどの方法があります。
プレス加工金型の素材・材質
プレス加工金型の素材や材質をご紹介します。ここではプリハードン鋼(HPM)、炭素工具鋼(SK3)、特殊工具鋼(SKS3)、ダイス鋼(SKD11)、高速度鋼(ハイス鋼、SKH51)、超硬合金(V30)のそれぞれの素材の特長や特性などを解説します。
プリハードン鋼(HPM)
プリハードン鋼(HPM)は、熱処理を施して硬度を調整した材料で、熱処理済みのため高硬度を保ちながらも被削性が高いのが特徴です。加えて、焼き入れや焼き戻し、研磨仕上げが不要かつ追加工程をカットできるのもメリットです。これらのメリットを生かし、納期短縮を図りたい場合や加工コストを削減したい際には、プリハードン鋼が使用される傾向があります。
炭素工具鋼(SK3)
炭素工具鋼(SK3)はプレス金型のほか、たがねやゲージ、刃物、治工具など幅広い用途で用いられる素材です。炭素含有量が多いものほど硬度が高く、プレス型や刻印など靭性が求められる工具には炭素含有量の少ない鋼種が適しています。プリハードン鋼のように、軟鋼板を少量加工する場合にパンチやダイで使用される傾向があります。ただし鋼種によっては、焼き割れなどが起こるため、取り扱いには注意が必要です。なお、炭素工具鋼(SK材)にW(タングステン)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)などを加えたものが合金工具鋼です。
特殊工具鋼(SKS3,sks3)
特殊工具鋼は、特殊鋼のなかでも特に硬い鋼です。したがって特殊工具鋼は耐摩耗性や耐衝撃性に優れます。特殊工具鋼のなかでもSKS3は冷間金型用としてゲージやシャー刃、プレス型、ねじ切ダイスなどの用途で用いられています。
ダイス鋼(SKD11,skd11)
ダイス鋼(SKD11,skd11)は合金工具鋼の一種で、冷間金型向けに製造されており、プレス型や転造ダイス、ホーミングロールなどの用途があります。ダイス鋼は、熱処理を施すことで高硬度となり、安定した寸法を得やすいのが特徴です。また、熱処理やワイヤーカット、放電加工による歪みが生じにくいのも強みです。一般的に、ダイス鋼は小ロット生産や薄板加工、設計変更の可能性がある場合などに採用される傾向があります。
高速度鋼(ハイス鋼、SKH51)
高速度鋼はハイス鋼とも呼ばれており、切削工具などに用いられる鋼です。高速切削を実現するために開発されており、靭性が高く耐摩耗性、耐熱性に優れ、加工も容易といった強みがあります。比較的小さいパンチやダイで靭性を求めるときに使われる機会が増えています。高速度鋼のなかで、モリブデン系に分類される製品は、耐摩耗性と靭性が良好でカッターなどの刃物系の材料のほか、冷間鋳造用金型や冷間圧迫金型、精密金型などの材料に使用されています。一般的に、高速度鋼は大ロット生産や難加工材の加工、中・厚板の加工、コーティング処理との併用などの場合に採用される傾向があります。
超硬合金(V30)
超硬合金はダイヤモンドに次ぐ硬さに金と同等の重量をもつ金属で、強度や弾性、耐摩耗性に優れるほか、高温時の硬度低下も少ないのが特徴です。プレス金型に使われる超硬合金はタングステン・カーバイド(WC)とコバルト(Co)との合金であり、パンチに硬いV30を採用し、ダイには比較的軟らかいV40を採用するなど、使い分ける場合もあります。超硬合金は研削や放電加工も容易に行えることから、耐摩耗性を要する部品に多用されます。
染谷精機が所有するプレス機械・設備・装置
染谷精機が所有するプレス機械・設備の一部をご紹介します。弊社はプレス機以外にも最新鋭のプレス金型関連機械を設備しています。充実の設備群でお客様のご要望にきめ細かく対応いたしますので、ぜひお問い合わせください。
板金加工とプレス加工金型の違い
板金加工とプレス加工金型の違いを解説します。板金加工とプレス加工はどちらも金属の板を加工する点で同じですが、いくつかの違いがあります。ここでは板金加工とプレス加工金型の違いを「金型」「加工形状」「手作業と自動作業」のそれぞれの観点から考察します。
金型
板金加工とプレス加工金型では金型が異なります。板金加工の金型は汎用金型と呼ばれ、V字に加工されたダイと、ダイに材料を押し込むパンチの組み合わせで板を加工します。パンチとダイは曲げの角度や角Rなどで分かれていますが、同じ角度の曲げであれば、違う部品の加工にも使える特長があります。一方、プレス加工の金型は、製作物に対して専用金型を使います。プレス加工は、板金加工のように単純な曲げだけの技術と異なり、絞るといった複雑な加工も可能です。そのため1つの製品に対してそれぞれ専用の金型が必要になります。
加工形状
板金加工とプレス加工金型では加工形状が異なります。板金加工による曲げ加工は、基本的に直線曲げのみとなります。汎用金型は直線形状をしているため、例えば金属製の弁当箱の底のような、一周の角が曲線を描く形状は加工ができません。一方プレス加工金型では、深鍋やボウル、スプーンのようにさまざまな形状が加工でき、板金加工と比べると加工の自由度は飛躍的に向上します。
手作業と自動作業
板金加工とプレス加工金型では手作業と自動作業の違いがあります。前述のとおり、板金加工では穴あけ工程や曲げ工程などをそれぞれ違う機械を用いて加工します。したがって手作業で素材をセットして加工し、終わったら次に素材を運ぶといった手間が生じます。一方、プレス加工は、曲げ型、抜き型など複数の金型を使いますが、自動化することもできるため省人化が可能です。
プレス加工金型以外の金属加工
プレス加工金型以外の金属加工の方法をご案内します。プレス加工金型以外の金属加工方法はさまざまですが、ここではその中から鍛造、鋳造、切削加工、レーザー加工をご紹介し、それぞれの技術的特長などを解説します。
鍛造
鍛造は、金属を叩いて圧力を加えることで強度を高め、目的の形状に成形(成型)する技術です。金属をハンマーやプレスで叩くことで内部の空隙をつぶすとともに結晶を微細化し、結晶の方向を整えることで強度を高めます。鉄は叩くほど強くなる性質があり、この性質を生かす形で鍛造は強度を必要とする製品に広く用いられています。具体的には自動車部品や航空機部品などから、包丁やペンチなど身近な製品の多くが鍛造によって製造されています。鍛造は型に合わせて材料を準備し、叩いて成形する方法のため、金属の削り出しなどの方法と比べて材料が少なくて済むメリットがあります。このため、大量生産にも向いています。また、材料の組織が密となり、内部欠陥がないのも鍛造の利点です。さらに最終形状に近い形になるので後工程の切削工程を省略できるほか、引張り強度や硬さといった機械的性質が向上します。製品形状に合った鍛流線、いわゆるメタルフローが得られるのも鍛造のメリットです。
鋳造
鋳造は溶かした金属を製品の形をした型に流し込み、冷やし固めて目的の形状にする金属加工方法のひとつです。溶かした金属を流し込むため、切削加工などでは難しい、複雑な形状や内部構造を持つ製品に加工できるのが強みです。具体的には自動車部品のシリンダーブロックやマニホールド、調理器具のスキレット、マンホールの蓋など、身近なものから工業製品まで幅広い製品が鋳造によって製造されています。型を用いるため、ダイカストのような方法では高い生産性で量産が可能なほか、鉄、アルミニウム、銅、真鍮など、さまざまな金属や合金を材料として使うことができるのも鋳造の強みです。
切削加工
切削加工は金属やプラスチックなどの材料を、切削工具を使って削り取り、目的の形や寸法に仕上げる方法です。工作物を固定し、工具を高速回転させる切削加工方法を「転削」、工作物を回転させて工具を当てる加工方法を「旋削」と呼びます。切削加工の母材は幅広く、鉄やステンレスなどの金属から、アルミニウム、真鍮などの非鉄金属、さらにはカーボンや樹脂などの非金属も加工できるのがメリットです。また、切削加工は高精度と複雑形状の両立が可能で、旋盤やフライス盤、マシニングセンタなどの工作機械を使えば、単純な穴あけから複雑な3次元形状まで幅広く対応できる強みがあります。
レーザー加工
レーザー加工は高エネルギー密度のレーザー光を材料に照射し、熱エネルギーで対象物を融解、蒸発させる加工方法です。レーザー光は非常に細く集中させることができるため、複雑な形状の加工が可能となります。さらにレーザー光は直線的に進むため、曲面や傾斜面にも正確に加工できるのが強みです。また、レーザー光はコンピュータ制御で自由に動かすことができるため、さまざまなパターンやデザインの加工が可能となります。また、レーザー光は多種多様な材質に対応しており、金属だけでなくプラスチックや木材はもとより、刃物では加工が困難な超硬金属や脆いセラミックなどの加工も可能となります。
塑性加工・プレス加工金型は染谷精機にお任せください
塑性加工・プレス加工金型は染谷精機にお任せください。弊社は金型設計から切削加工、研磨加工、ワイヤー加工(金型加工)を社内で一貫して対応し、高度な技術力でお客様のコストダウンに貢献します。また、完成した金型のトライプレスも対応可能です。対応金型サイズは2000ミリx1000ミリ程度まで、プレスのトン数換算で300tプレス仕様までとなっています。対応できるプレス金型の種類は曲げ型、絞り型、単発型、順送型、トランスファープレス型、位置合わせプレス型の6種類です。弊社は不要部を除去するトリミングプレスのほか、製品としては人目につく内装品や外装品が多く、キズや凹みといった外観が問われる製品を得意としています。製品素材は鉄、ステンレス、アルミの取り扱い実績が豊富です。弊社はお取引先も幅広く弱電関係、建築関係、車載内外装関係、銘板関係、販促品関係などジャンルを問わずさまざまな業界のお客様にご好評頂いています。なお弊社は鍛造、鋳造、樹脂を溶融して流動させる射出成形(射出成型)、溶接には対応しておりません。公差、ガイドポスト、位置決め、抜き打ち、SUS厚板(sus)などプレス機械加工品のことであれば何でも染谷精機にお任せください。ご連絡お待ちしています。





